街中を車で走っていると、よく目にするコインパーキング。
普段から利用している人も、そうでない人もコインパーキングをスムーズに利用したいと思っておられるでしょうし、もちろんトラブルになんてあいたくないと思われているでしょう。
しかし、そう思われている人がほとんどであるにもかかわらず、なかなか減らないトラブルがあります。
それは、精算機に表示された料金が、利用していた人の想定よりも大幅に高額になっている、というトラブルです。
これは、もちろん駐車場機器の故障が原因という場合もありますが、利用される方の料金看板の確認不足であったり、記載内容を正しく理解されていないことが原因である場合がほとんどです。
ですので、以下では料金看板の見方から始まり、そして料金トラブルにあわないためにはどうしたらよいのか?について解説していきたいと思います。
まずは料金看板の見方を正確に理解しておきましょう。
大まかな料金体系の構成について
全国で見ると大手コインパーキング会社だけでなく、中小の会社も数えきれないくらい参入していて、それぞれの会社が、それぞれの表現方法で料金看板を掲出しています。
表現方法はさまざまであっても、おおむね以下のような構成となっています。
①基本料金
これは「8:00~20:00 30分200円 / 20:00~8:00 60分100円」や「終日 60分200円」と表記されている部分です。
コインパーキングの料金算定基準となるもので、ほとんどのコインパーキングに設定されています。
② 最大料金
料金トラブルを引き起こす最大の要因箇所となっています。主に「入庫後24時間最大料金 1000円」や「夜間最大 500円」と表記されている部分になります。
駐車場の状況に応じて、他にもさまざまな適用条件が記載されています。特に注意が必要なのは最大料金の「繰り返し適用」と「1回のみ適用」です。以下の具体例を見てください。
最大料金の種類と適用条件の違いによって、どれくらい料金に差がでるものなのか?
① 「入庫後〇〇時間最大」
入庫したのち設定された〇〇時間が経過するまでの間に規定料金に達すると、それ以上の課金が止まる仕組みです。
設定時間を過ぎると再度課金が始まります。
他にも「停め放題」・「打ち止め料金」・「打ち切り料金」・「ポッキリ価格」等の表記をされている場合があります。
月曜日の8:00に入庫して火曜日20:00に出庫した場合の支払金額を見てみましょう(例①図を参照)
繰り返し適用の場合
月曜日8:00~火曜日8:00の24時間は最大料金が適用されるので「1,000円」
火曜日8:00~火曜日20:00の12時間も再び最大料金が適用されるので「1,000円」となり、支払金額は「2,000円」となります。
1回のみ適用の場合
月曜日8:00~火曜日8:00の24時間は最大料金が適用されるので「1,000円」
火曜日8:00~火曜日20:00の12時間は最大料金の適用がないので、基本料金が20:00まで適用されて「2,400円」となり、支払金額は「3,400円」となります。
②「入庫当日最大」
入庫した当日の23:59までの間に規定料金に達すると、それ以上の課金が止まる仕組みです。
日付けが変わると再度課金が始まります。
他にも「入庫24時まで最大料金」と表記されている場合があります。
月曜日の8:00に入庫して火曜日20:00に出庫した場合の支払金額を見てみましょう(例②図を参照)
繰り返し適用の場合
月曜日8:00~月曜日23:59の約14時間は最大料金が適用されるので「1,000円」
火曜日0:00~火曜日20:00の20時間も再び最大料金が適用されるので「1,000円」となり、支払金額は「2,000円」となります。
1回のみ適用の場合
月曜日8:00~月曜日23:59の約14時間は最大料金が適用されるので「1,000円」
火曜日0:00~火曜日20:00の20時間は最大料金の適用がないので、基本料金が20:00まで適用されて「4,000円」となり、支払金額は「5,000円」となります。
③ 「時間帯最大」
8:00~20:00、22:00~6:00など、最大料金が適用される時間帯が併記されていて、入庫したのち設定された時刻になるまでの間に規定料金に達すると、それ以上の課金が止まる仕組みです。
設定された時刻を過ぎると再度課金が始まります。
他にも「昼間最大」・「夜間最大」・「デイタイム」・「ナイトタイム」と表記されている場合があります。
月曜日の8:00に入庫して火曜日20:00に出庫した場合の支払金額を見てみましょう(例③図を参照)
繰り返し適用の場合
月曜日8:00~月曜日20:00の12時間は昼間最大料金が適用されるので「1,000円」
月曜日20:00~火曜日8:00の12時間は夜間最大料金が適用されるので「500円」
火曜日8:00~火曜日20:00の12時間も再び昼間最大料金が適用されるので「1,000円」となり、支払金額は「2,500円」となります。
1回のみ適用の場合
月曜日8:00~月曜日20:00の12時間は昼間最大料金が適用されるので「1,000円」
月曜日20:00~火曜日8:00の12時間は夜間最大料金が適用されるので「500円」
火曜日8:00~火曜日20:00の12時間は最大料金の適用がないので、基本料金が20:00まで適用されて「2,400円」となり、支払金額は「3,900円」となります。
他にも注意する表記内容があります。
先程は最大料金について説明しましたが、お分かりいただけましたでしょうか?
しかし、料金看板にはまだ気つけていただきたい箇所があります。
詳しい説明は省略して、主な表記のみ挙げておきます。
※「平日料金」と「休日料金」
※「特定の駐車区画のみ適用される料金」
※「年末年始特別料金」「イベント開催時特別料金」
これらも確認しないまま駐車すると、精算時に想定外の料金となることもありますので、見落とさないよう注意してください。
もしも料金トラブルにあってしまったら、管理会社はどう対応してくれるのか?
料金看板の表記内容の見方は理解したけど、万が一、料金トラブルになった場合はどうなるの?と疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。
答えは、残念ながら管理会社は返金等の対応はしてくれない、というのが現状です。
駐車場機器の故障等による料金トラブルは対応してくれます。
でも、看板の表記内容を誤認した、または、表記内容の不明な点を確認しないまま駐車した結果でおきた料金トラブルでは、管理会社は動いてくれません。
厳しい言い方になってしまいますが、利用された方が、入庫前に看板をキチンと確認していただいていたら防げるトラブルだと認識している。というのが理由です。
私も10年以上駐車場管理の仕事をしていた中で、料金トラブルの対応をしたこともありますが、看板の内容を誤認されたケースがほとんどで、返金や強制出庫等の対応をおこなったことはありません。
どうしたら料金トラブルになるのを防げるのか?
料金看板の内容に不明な点があったとしても、ほとんどのコインパーキングは無人で運営されており、入庫前に正しい内容を答えてくれる管理人さんはいません。
ですから、まずは利用される方が管理会社に連絡をして、正しい情報を得るようにすることが、料金トラブルを避ける一番の近道と言えます。
消費者問題を所管する「消費者庁」のホームページには以下のように記載されています。
消費者の方へ
時間貸し駐車場の料金の適用は複雑な場合もあり、利用する際は料金表示をよく確認しましょう。特に最大料金が設定されている場合は、その繰り返し適用があるかを確認し、よく分からないときには、利用前に、看板等に記載されている駐車場の連絡先に問い合わせてみるようにしましょう。
引用元:消費者庁ホームページより
まとめ
料金看板に記載されている「基本料金」や「最大料金」気を取られがちですが、それだけでなく料金の「適用条件」をキチンと確認することが大切です。
最大料金の設定があるからと駐車したのに、精算したらびっくりするような高額な金額表示だったというケースでトラブルになったとしても、管理会社からの返金を受けることはできない、というのが現状です。
自分の身は自分で守るために、利用しようとしているコインパーキングの料金について少しでも不明な点がある場合は、管理会社へ連絡して確認することが必要となります。
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