実用性だけでなく趣味性もあわせもたれることが多い「クルマ」。所有者の好みに応じて、内・外装のオプションパーツを追加したり、足回りを変更して車高を変えてみたりたり、と挙げていったらキリがないほどです。
でもクルマの「高さ」を変更したことで、コインパーキングに駐車できなくなることがあるって知っていましたか?
すぐに思いつくのは地上高を「下げる」改造をしたけど、コインパーキングを利用して大丈夫?というところでしょうか。
私の経験上、車高調で単に地上高を下げるだけの場合よりも、エアロパーツ装着によってトラブルにあう確率の方が高いです。
また、他にもコインパーキングで注意すべき「高さ」がありますので、今回は、特にロック板方式のコインパーキングにおけるクルマの「高さ」について解説します。
まずは駐車場利用規約を見てみましょう
参考までに、私の勤務先がコインパーキングに掲出している利用規約看板(約款ともいいます)のうち、「高さ」にかかわる部分を抜粋してみました。他のコインパーキング管理会社でも、おおむね同じような内容です。
●当駐車場内に駐車することができる車両のサイズは、下記の基準に該当するものに限ります。・全長3.3m以上5.0m以下 ・全幅1.9m以下 ・全高2.0m以下 ・車両総重量2.0t以下 ・最低地上高15cm以上
●上記基準に該当する車両でも、下記の車両は駐車することができません。1.最低地上高が25cmを超える車両等、車両入庫認識装置が作動しない形状の車両。2.オート・レベリング機能等を有し、車両高が変化する車両。3.エアロパーツ及び改造パーツ装着車等、ロック板との接触により入出庫障害を起こすおそれがある車両。
コインパーキングに関わる「高さ」について
全高2.0m以下
これは主に、駐車場設備を保護するための規定です。
2.1mとされていたり、2.3mであったり、と管理会社によって規定数値の幅がありますので注意が必要になります。
平面式のコインパーキングであっても、トラック等の車高の高いクルマによって駐車場入口の看板や、照明器具が破損させられる事故が起きているため規定されています。
最低地上高15㎝以上
地上高の低い車の入庫は、利用者の充分な注意がないと事故となる可能性が高いので、利用禁止となっています。
最低地上高とは、「水平な接地面と自動車の中央部分の最下部との距離」と定義づけられています。
要するに、「クルマの底面で一番低い部分」と「地面」との距離で、英語ではロードクリアランスといいます。
ちなみに、車検に通るための最低地上高は9㎝以上とされています。
車両直下にくるロック板機器の高さはメーカーにより差異がありますが、車高を下げていたとしても車検に通った車両であれば大体、車底をぶつけずにロック板装置を乗り越えることができます。
しかし、車室に設置されているタイヤ止めは、今でも高さ10cm以上あることが多く、中には高さ15㎝以上ある駐車場もあります。地上高9㎝だとタイヤ以外のパーツが先に当たって壊れてしまいます。
またこれも私が経験したことですが、道路からの乗り入れ部分の傾斜と、車室の傾斜が共にきついコインパーキングだったため、地上高9㎝のクルマの車底がロック板機器に引っ掛かり、動けなくなってしまったケースもありました。
ですから、車検に通る地上高であっても必ずしも安全とは言えませんので、規約看板には最低地上高は15㎝以上とされています。
最低地上高25㎝以内
こちらは事故が理由ではなく、駐車場の管理・運営上の理由で利用禁止とされています。
SUV車やインチアップしたクロカン車など、地上高が高い車の場合はどうしてなのでしょうか?
ロック板方式の機器や路面には、車が入庫したことを感知するセンサーが組み込まれています。ですが地上高が高いクルマを入庫した場合、センサーが正常に反応せず、ロック板装置が上昇しない(=入庫したと機械が認識できていない)ことがあります。
そのため、無断駐車や料金未払い出庫でのトラブルとならないよう、ロック板方式の駐車場では、地上高が高いクルマの利用禁止を定めているのです。
他にも「高さ」にかかわる駐車禁止項目があります。
エアロパーツ装着車および改造パーツ装着車
数年前まではロック板機器の駆動方式は油圧式が多く、このタイプは上昇圧力が高かったので、ロック板上昇時に、純正品・社外品を問わずエアロパーツを強く押し上げてしまい、パーツが破損してしまうトラブルが頻繁にありました。
最近では上昇圧力がさほど高くないモーター駆動方式が増えてきたため、エアロの破損トラブルは減りつつありますが、なかなかゼロになりません。
一般利用者には油圧式ロック板とモーター式ロック板の区別はつかないかと思います。
ですから、ロック板との接触が原因で破損する可能性が特に高いサイドスカートを含めて、エアロパーツを装着されている方は、ロック板駐車場の利用は避けていただきたいと思います。
近年の軽自動車はスタイリッシュになってきましたが、オプションではなく、標準でサイドエアロが装着されている車種が増えています。買った時からついているため、ドライバーが意識せずにコインパーキングに駐車して、結果エアロを破損するトラブルにあってしまうことがあります。自分の車の左右ドア下を見て樹脂製パーツがついている時は、ロック板方式のコインパーキングは避けてください。
オート・レベリング機能等を有し、車両高が変化する車両
ハイドロニューマチックやエアサスペンション装着車など、エンジン停止後に徐々に地上高が下がってくるクルマのことです。
車高が下がりきる前にロック板が立ち上がってしまうと、ロック板で車体を支えるような状態になってしまいます。
つまり、ロック板と接触している一点に車体の重さがかかるため、車体底部が凹んでしまう可能性があります。
こちらもロック板駐車場の利用は避けていただきたいと思います。
どのタイプの駐車場に停めたらいいのか?
利用規約看板を掲出してある以上、その看板を利用者が見た、見ていないにかかわらず、クルマの「高さ」が原因でトラブルや事故になっても、管理会社は補償してくれません。
コインパーキングは無人運営されているので、利用者側の自己責任とされてしまうのが通例です。
でも、クルマの高さに問題はあってもコインパーキングを利用せざるを得ない場面もあるでしょうから、私の見解を書きたいと思います。
下記のコインパーキングでも、タイヤ止めの高さや設備の設置状況はそれぞれ違うため、あくまで参考と思ってください。
ロックレス方式コインパーキング
ここ数年、導入が増えてきたのがロックレス方式です。文字通り車両の前や下に設置されるロック板がなく、入庫を検知するセンサーとナンバープレートを撮影するカメラで車両の管理をしています。
ロック板がないため、地上高が低いクルマやエアロパーツ装着車でも、比較的安全に駐車できます。
ただし、車両の入庫を検知するセンサーについてはロック板方式と同じため、地上高が高いクルマは駐車できません。
ゲート方式コインパーキング
20台以上の駐車枠がある駐車場に設置されていることが多いのがゲート方式です。駐車区画に障害物となる装置(タイヤ止めは除く)がないので、地上高の低いクルマ・エアロパーツ装着車でも駐車しやすいです。
地上高の高いクルマも、入場口の発券機で駐車券が発券されれば駐車できます。
ただし、車高2.0m以上のクルマは、入口・出口周辺の雨よけテントや、ゲートバーと接触して破損する可能性があるので、利用できない場合が多いです。
まとめ
コインパーキングでの色んな「高さ」についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
自分のクルマの「高さ」にあった駐車場を選ぶことが、愛車を傷から守るうえでとても大切です。
クルマの「高さ」で悩まれている方に、この記事がお役に立てれば幸いです。
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