遊休地の活用方法の一つとしてあげられる「駐車場経営」。
コインパーキングでの土地活用を選んだならば、経営方法は「一括借り上げ」方式と「自主運営」方式の、大きく2通りに分かれます。
今回は2つ方式を比較してみたいと思います。
「一括借り上げ」方式
「サブリース」方式とも言います。オーナーの土地をコインパーキング運営会社が借り上げて、毎月固定額の賃料を運営会社がオーナーに支払う方式です。
コインパーキング開設のための機械設置工事などの初期費用や、月々の売上管理・メンテナンスの手間や費用はすべて運営会社が負担します。
ただし、固定資産税や町内会費は、オーナーが支払わないといけないので注意が必要です。
特徴は
*初期投資がほぼ必要ない(アスファルト舗装費用がオーナー負担となる場合がある)
*土地のオーナーは駐車場の実際の売り上げに関わらず、契約時に決めた毎月固定額が入金されるので収入が安定する。ローリスク・ローリターン。
*集金・釣銭補充などの日常管理、故障等やトラブル対応などの面倒な仕事に、オーナーの時間や手間が取られない。
「自主運営」方式
コインパーキング開設のための初期費用から開業後の管理費用まで、駐車場に関わるすべてがオーナーの負担となります。
収入については、駐車場売上の全額がオーナーのものとなります。
特徴は
*駐車場売上は毎月変動があるので、収入としては安定しない。
*それでも、たいていは「一括借り上げ」方式よりも収入が高い。
*きちんと管理しようとすると、手間も時間もかかる。
*値下げなどの料金体系変更、トラブルや故障による機器修理も自己負担となる。
「自主運営」でも管理は委託できます。
「個人では機器のメンテナンスやトラブル対応はできない」という場合は、運営会社に管理を委託することができます。
また自分でできることは自分でして、手に余るところを運営会社まかせる、業務委託もあります。
管理委託費用は、駐車場売上の10%程度が目安となります。業務委託は内容により数千円~となります。
収入差はどれくらいなのか?
表などを交えて実例を挙げてみます。
駐車台数 10台
毎月のコインパーキング売上げ 300,000円
一括借り上げにおける毎月賃料 180,000円(18,000円×10台)
自主運営における初期費用 2,700,000円
初期費用回収期間 3年間 (2,700,000円÷3年=900,000円/年)
保守管理にかかる費用・電気代の月額 30,000円
一括借り上げ | 自主運営 | |
収入月額 | 180,000円 | 300,000円 |
年収(粗利) | 2,160,000円 | 3,600,000円 |
初期費用(機器設備費) | 0円 | 900,000円 |
保守管理費用(年額) | 0円 | 360,000円 |
差引年収 | 2,160,000円 | 2,340,000円 |
いかがでしょうか?
コインパーキングを始めてからの当初3年間の収入を見ますと、「自主運営」方式は初期費用の回収分年収が下がるため、「自主運営」方式と「一括借り上げ」方式との年収差は、さほど大きくはないです。
しかし、初期費用の回収が終わった4年目以降、「自主運営」方式は収入が大幅に増えます。
一方で「一括借り上げ」方式には収入に変化はありません。
こうして収入だけを見てみると、「自主運営」方式の方が魅力的ですよね。
でも、駐車場管理の仕事をしてるからこそ言えますが、コインパーキングの経営・管理は個人でやろうとすると、けっこう面倒なことが多いです。
集金・釣銭補充・清掃・24時間トラブル対応。定期的な機械のメンテナンス、周辺相場の変化に対応するための料金変更・・・等々。
運営しているコインパーキングの近所に自宅があり、時間の余裕を作れる状況ならまだしも、例えば、自宅は東京にあり、所有する土地は大阪にある、となってくると、ご自身だけでのコインパーキング運営・管理は不可能といっても差し支えないかと思います。
ですから、ほとんどのオーナーは「一括借り上げ」を選ばれているのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「一括借り上げ」と「自主運営」では、それぞれ一長一短あるので、オーナーの目的に応じた選択となるかと思います。
「一括借り上げ」はコインパーキングの売上にかかわらず賃料は固定ですが、すぐに収益化できますし手間もリスクも少ないです。
「自主運営」は初期費用がかかる上に運営上のリスクもありますが、売上がすべて収入となる点は魅力的です。
安定収入をローリスクで確保したいと考えるのであれば「一括借り上げ」がよいでしょうし、とにかく駐車場経営で収益を上げたい場合は「自主運営」がよいでしょう。
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