こんにちは、しょう(@syo5_maint)です。
今回は機械式立体駐車場の操作で必要な操作キー(鍵)のスペアーキー作成(合鍵)についての話です。
駐車場に限った事ではありませんが「鍵のトラブルで困った」なんて経験をされた方は多いのではないでしょうか?
実際にこれらのような「鍵のトラブル」に関する、相談や問い合わせが結構あります。
そしてこれらの鍵に関するトラブルの多くは費用が発生する事が多いです。
その対策としてスペアーキー(合鍵)の作成を考える方も多いと思います。
そこで今回は「機械式立体駐車場の鍵トラブル」対策として「スペアーキー(合鍵)の作成」が果たして正しい選択なのか?
駐車場設備の保守を行っている立場からの解説と「鍵のトラブル」についてオススメの対策方法を解説致します。
合鍵屋さんやスペアーキーを販売してる管理会社から文句を言われそうですが、利用者にとってはそれがメリットだと思いますので、是非最後まで読んで頂いて、鍵トラブル対策の参考にして頂ければ嬉しいです。
立体駐車場の操作キーを複製(合鍵)すると装置が故障しトラブルを招きます
まずは大前提として駐車スペースを借りているのであれば
賃貸住宅などと同様で無断で合鍵を作成することは原則として認められていません。
駐車場と操作する鍵の所有権は大家さんにあります。
それをあなたが「駐車場を借りる」契約を行って鍵を含めて借りているだけです。
つまり、許可なく他人の持ち物の複製を作る行為となります。
さて前提としての話は「無断で合鍵を作成してはいけない」という事でしたが、今回は「合鍵の許可」云々の話ではありません。
結論から言うと「合鍵を使用すると駐車場装置が故障してトラブルになる場合があります」という話です。
たかが合鍵ぐらいで故障なんてしないだろうと思うかもしれませんが、普通の扉などを施錠する鍵とは違って、立体駐車場の操作キーは鍵を回す事によって駐車場装置を電気的に起動させています。
つまり普通の鍵にくらべると内部構造がかなり複雑で繊細な作りになっています。
そのため、ほんの少し厚みが違ったり形状が違うだけでキーシリンダー自体を破損させてしまうのです。
実際に合鍵を使用した事が原因とされるキーシリンダーの破損はかなりの件数があります。
またキーシリンダーが破損するとセレクトスイッチを丸ごと交換する事になります。
これらの理由により
「機械式立体駐車場の操作キーは合鍵を使うべきではない」と判断しています。
合鍵の使用が原因で、キーシリンダー交換を余儀なくされるケースがかなりあります。エンジニアの立場からは合鍵の使用禁止を推奨しています。
立体駐車場で合鍵を使用すると何故故障するのか?
前項で普通の扉の鍵よりも繊細だとお話したように、ほんの少しの違いで破損させてしまう恐れがあります。
つまり・・・
合鍵屋さんには申し訳ないのですが
これは合鍵屋さんの技術が低いとか腕が悪いとか言う事ではありません。
合鍵の元になる素材自体の厚みであったり
削り出す機器の僅かな誤差によるものが殆どだと思います。
普通の扉の鍵ではこれらの小さな誤差は問題となりませんが、繊細なキーシリンダーでは破損に繋がる可能性が有るのです。
普通の合鍵を作成した時に「回しにくかったり硬かったら再度お持ちください」って言われたこと無いですか?
元となる鍵ではスムーズに開けれるけど、合鍵だと少し硬いなど経験あると思います。
この場合でも合鍵屋さんに持っていき、ヤスリなどで調整してもらうと改善したりしますよね?
これらの一連の流れでも、普通の扉の鍵であればなんの問題もないやり取りかもしれませんが、繊細な機械装置の操作キーでは破損させてしまう恐れがあります。
次の写真で2本の鍵を比べて見て下さい。
IDECの「No.0キー」通称「イズミのゼロ番キー」です。
ひとつ前のデザインですが、左側が本物、右側が合鍵です。
形や鍵の形状は見た目では見分けがつかないですね。
続いて鍵の厚みについて次の写真を比べて見て下さい。
分かりにくいですが、下側が本物、上側が合鍵です。
写真では分かりにくいのですが、合鍵の方が本物と比べて少しだけぶ厚いのが分かりますか?
ちなみにノギスで正確に計測すると
- 本物の厚み(1.75mm)
- 合鍵の厚み(1.90mm)
たった「0.15mm」の違いなのですが、これが原因となってキーシンダーを破損させてしまうのです。
「イズミの0番キー」の合鍵を沢山見てきましたが、中には見た瞬間に厚さの違いがすぐに分かるものもありました。
実際にあった合鍵を使用した際の立体駐車場トラブル
私が今まで経験してきた中で1番印象に残っているトラブル例を一つ紹介したいと思います。
前項の原因例として紹介した「イズミのゼロ番キー」での話になります。
今回の例でお話する駐車場装置の操作キーは「IDEC製のキーシリンダー」を使っているのですが、キーを入れて電源起動状態のとき鍵を抜くことが出来ない仕組みになっているタイプでした。
いわゆる「電源の切り忘れ」を防止するための仕組みです。
これまで合鍵を使用するとキーシリンダーが破損するとお伝えしてきましたが、この例では合鍵を使った直後に破損して動かなくなるわけではなく、合鍵の使用を続けていくと少しづつその機能が失われていくものでした。
- 最初は少し硬いぐらいで普通に使える
- しばらく使うと起動状態では抜けないはずの鍵が抜けるようになる
- 次に鍵としての機能がなくなり、どんな鍵でも回せるようになる
- 最後はマイナスドライバーでも操作出来るようになります。
つまり鍵としての機能はなくなり誰でも事由に駐車場装置を動かせるようになるのです。
機械式駐車場はその性質上、ある一定のセキュリティーを保っていますが、この状況下ではそれがなくなってしまいます。
さらにこの例のケースでは、電源の入り切りがされること無く常に電源起動状態で利用されていました。
利用者が鍵を使わなくても駐車場装置を動かせる為、誰も鍵を使わないで使っていたのです。
そんなとき、ある大きな事故を引き起こしてしまったのです。
本来であれば機械装置を利用するには鍵を挿入しないといけません。
また使用中は鍵を抜くことが出来ないため
使用中で有ることを次の利用者も把握することが出来ていました。
ですが事故発生時はそもそも鍵を使っていなかったので
使用中である事が次の利用者には分かりにくい状況でした。
そうなんです
駐車場装置内に人が入っているにも関わらず
次の利用者の方が機械装置を作動させてしまったのです。
人身事故にはなりませんでしたが
車両は大きく損傷して機械装置の損傷も大きかったです。
このように一歩間違えれば人身事故を起こしてしまう原因となってしまいます。
たかが合鍵一本でも大きな人身事故を引き起こす可能性があるのです。
合鍵を使った事が原因のトラブルは、この他にも沢山ありますね。
合鍵を使ったことにより、正規品の鍵が使えなくなるケースもありました。
合鍵を作らずに立体駐車場のスペアーキー(鍵)を手に入れる方法
合鍵を使用しない方が良いことは分かったけど「鍵のトラブル」対策はどうするのか?
鍵のトラブル対策でスペアーキーを所持するのは正しいです。
問題となるは、そのスペアーキーを合鍵で作らなければ良いのです。
普通の扉の鍵とは違い
立体駐車場で使う鍵の殆どはメーカーから市販されています。
また定番キーを使われている事が多いので誰でも自由に購入出来ると思います。
さらに近年ではインターネットショッピングの拡大によりネットでいつでも自由に買えるようになってきています。
メーカー製造の正規品の鍵であれば、キーシリンダーを破損させる心配もありません。
しかも他人の持ち物を複製するわけでもありません。
一般的に市販されているものを購入するだけですので、その鍵はあなたの持ち物です。
メーカー名 カギ番号でネット検索すれば大体の物は探せると思います。
例えば
「IDEC 0番キー」
あと、殆どの場合は合鍵を作るよりも正規品をメーカーから購入するほうが安いと思います。
鍵の種類によって合鍵を作るとかなり高額になるものもあります。
一般的な鍵であれば数百円で手に入ると思いますよ。
まとめ
さて、如何だったでしょうか?
鍵のトラブル対策としてスペアーキーを持つことは非常に有効です。
ですが、安易に合鍵を作成してしまうと大きなトラブルに巻き込まれる可能性があるのでやめておきましょう。
機械式立体駐車場の場合は概ね、キーシリンダーメーカーから正規品が市販されていますので、それを購入しましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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