自動車を運転する場合には、万が一の事故に備えて自動車賠償保険「自賠責」に加えて自動車保険「任意保険」に加入して方が一般的だと思います。
対人・対物保険共に無制限で加入しているので、大きな失敗やミスで第三者に損害を与えてしまってもすべて保険で対応出来るので何があっても安心と思っていると、思わぬ落とし穴があります。
今回は、私が修理業者の立場から実際に見かけた、保険金請求が出来なく賠償金請求を受けた事例を紹介すると共に気をつける所を解説したいと思います。
立体駐車場に対して対物賠償保険は万能ではない
自動車保険の構成内容に対物賠償保険というものがあります。
この保険は、万が一自動車運転中に事故を起こし他人の財産を傷つけてしまった場合に発生する損害賠償に備えるための保険です。
近年では、賠償金額を無制限にして加入するのが一般的になっています。そのようなこともあり、保険に加入してる人は、どのような事故を起こしてしまっても全て全額保険金で補償されるものだと思っている方も多いと思います。
ですが、実際には保険対象外になるケースもあって保険金が一切支払われない場合もあります。
また、これによって保険に加入しているにも関わらず、高額な賠償金請求を自費で支払わなければ行けないような事も発生します。
- 故意による事故
- 戦争や暴動による事故
- 地震や津波などの天災による事故
免責事項については、各種保険会社の保険証券や約款を確認してみて下さい。
また、保険会社によっては、特約事項(オプション)として本来免責事項にあたる部分を補償できるようになっています。
各種保険には「免責事項」といって、保険金が支払われない項目内容があります。
「故意による事故」のように、わざと起こした事故は当然だと思える内容だけでなく、「これ保険出ないの?」というような内容もあるので、しっかりチェックしましょう。
賠償請求されたにも関わらず保険金請求が出来なかった事例
今回、ご紹介する事例は、修理業者の私が実際に経験した保険金の支払対象外になったケースです。
簡単に事故の概要を説明すると、月極契約してる機械式立体駐車場に入庫した際に、運転者のミスによって本来停車させないと行けない場所からはみ出して駐車してしまった。
それによって機械作動中に車両と機械装置が接触し、車両と機械装置が損傷した。
運転ミスが原因であることは、運転者本人も認めており、まちがいありませんでした。
損害については各種保険で補えると思ってました。
- 車両修理は車両保険
- 機械装置は対物賠償保険
どちらの保険も万が一の時に、それらの損害に備えるための保険なので、当然それらを保険金で補えると思っていました。
そう、なんの疑いもなく当然保険対応で解決出来ると、保険契約者本人、機械装置所有者、修理業者の私、保険代理店の担当者、みんなそう思ってました。
ですが、実際には立体駐車場装置の修理費用に関しては対物賠償保険の対象外となったのです。
対物賠償保険は他人の財産への損害が賠償対象
当たり前のことですが「対物賠償保険」は、自動車が起因して他人の財産に損害を与えたことにより、相手方から法的に賠償請求された場合に補償される保険です。
つまり、他人の財産への損害にしか補償されないのです。
自動車保険では「本人」「家族」「他人」はしっかりと定義されていますが、今回の問題は「他人」についてですので、説明を省略させていただきます。
よく考えてみれば、自分の物や家族の物を傷つけて損害賠償請求するなんて一般的にはありません。
要するに
自動車の運転中に、自宅のシャッターにぶつけたり、家族の自転車に接触して傷つけてしまっても対物賠償保険の補償対象にはなりません。
でも、ちょっとまってください。
今回の事故は月極で借りている立体駐車場装置が破損して、その修理代金を賠償しなければならないケースなので、「他人の物を傷つけ、賠償請求されている」にあたるのでは?
それについては次に解説していきますね。
駐車場の大家さんが、所有してる機械装置を破損させてしまったのに、保険対象外なんです。
更に保険が使えない理由を次で解説しますね。
自分の管理下にあるものは他人の財産でも補償されない
他人の財産への損害が対象は、ある程度理解出来る人も多いと思いますが、次のこれですね。
「自分の管理下にあるものは他人の財産でも補償されない」
難しい表現ですねー
意味がわかりにくいですよね
自分の管理下にあるもの・・・・・専有、使用、・・・・・・・
説明するのも難しいので具体例をいくつか出します
例えば良くある事故例
- 駐車場付きの一戸建てを賃借している場合
- 友達に借りてきた自転車
他人の物でも、借りていて本人が使用管理しているものですね。
もちろん、他人からお借りしている物なので傷つければ賠償しなければいけませんが、賠償保険の支払い対象外となります。
そうなんです、今回の事故のケースでは破損した立体駐車場装置のパレット部分は、本人が借りている本人の管理下にある物だと判断されたのです。
これを聞くと、月極駐車場等でブレーキとアクセルを間違えてフェンスに衝突した場合も保険請求出来ないの?って思ったりしますが、共用部分の破損については補償対象になってます。
ありえませんが極端な例を出すと、自動車の運転ミスによって自分がいつも駐車するスペースの地面に穴を開けてしまった場合は補償対象外になると思います。
実際にはありえない極端な例ですが、自分しか使わない管理下にあるものは保険が使えないようです。
たしかに今回の事故は、本人が借りている月極駐車場のスペースの破損です。またこれが破損した状況であっても本人の車両が駐車出来ないだけでその他には問題はありません。
ですが、修理をしないと今後車両を駐車することが出来ないので修理は行わないといけませんし、その費用は事故を起こした本人が賠償しなければいけません。
幸いにも今回は、破損したパレットの入れ替えで修復出来たので、賠償費用は数十万円でしたが立体駐車場装置の事故は高額になる場合もあるので気をつけないといけません。
平地の駐車場であれば、自分しか使わない管理下の破損なんてほぼ無い気がします。タイヤ止めの破損ぐらいでしょうかね?
ですが、立体駐車場となれば機械装置も高額になるので、気をつけておかないと怖いですね。
保険募集人の資格者でも知らない場合がある
今回の事故で感じたのですが、保険の代理店担当者でも補償対象外になるとは思っていなかったそうです。
保険の代理店は「保険募集人」の資格を有しており知識と経験は豊富なはずですが、今回のようなレアケースでは分からない事があるようです。
保険の基礎知識をみにつけリスク管理をすることが大事
損害保険については、めったに起きない事故だと思ったり、難しい法的な賠償などわかりにくいため、保険代理店などに丸投げしてる事が多いですが、しっかりと自分で基礎知識をみにつけてリスクの管理を行う事がもっとも大事です。
損害保険そのものが全てのリスクに対応できる万能保険ではありません。ですが時代の流れや環境の変化に合わせて、損害保険も日々進化していますので、それらの内容を確認しながらご自身で損害保険の組立を行えるようになれば安心です。
まとめ
自動車保険で対人・対物を無制限で加入していても、高額な賠償を請求される可能性があります。
様々なリスクがありますが、特に機械式立体駐車場を日頃利用されている方は特に注意が必要だと思います。
自動車だけではなく、自分にかかる様々なリスクに備えるため、損害保険に加入するときは、保険代理店などのプロに丸投げするのではなく、最低限の基礎知識を身に着けて、プロの意見と情報を元に自分で保険の組立を行いましょう。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コメント