こんにちは、しょう(@syo5_maint)です。
先日、知人のお子さんから、次のような質問を頂きました。
機械装置のメンテナンスを行う仕事って「キツくてしんどい」の?
私も、とうとう自身の子供が社会に出る年齢になってきました。
時が経つのは早いものですね。
年齢の話はおいといて
「機械装置をメンテナンスする仕事はキツイのか?」という事について、私なりの意見や考え、今まで経験して来て、思った事などお伝えしたいと思います。
この先、立体駐車場や、エレベーターなど機械装置の、メンテナンスする職業を検討されている人の参考になれば良いなと思います。
機械装置のメンテナンス業に興味が有る方は、是非最後まで読んでみて下さい。
機械式立体駐車場をメンテナンスする仕事はキツイです
機械装置のメンテンナス業が「楽なのか?キツイのか?」と問われると
答えは間違いなく、キツイです。
俗に言う「ブルーカラーの3K」に分類されていますので、間違っても楽な仕事ではありません。
以前は、一般的にブルーカラーの職種はキツイと言われていましたが、最近では「ホワイトカラーの3K」や「新3K」「6K」「9K」など様々な表現がされるようになり「楽な仕事ときつい仕事」を業種だけで判断出来ないように思います。
また、現場での技術職を考えている人は、デスクワークなどいわゆるホワイトカラーの仕事を、おそらく考えていないように思います。
つまり
「現場作業」と「デスクワーク」を比較しても意味が無いでしょう。
なので今回は
その他のブルーカラー3K職業と比べて
機械装置のメンテナンス業はどうなのかを考えます。
という事を踏まえて
機械装置のメンテンス業は、その他の技能系職業と比べてキツイのか?
私の答えは
技能系職業に絞り込んだとしても、かなりキツイ方に分類されると思います。
キツイの判断基準が人それぞれで違うので、一概には言い切る事は出来ませんが、楽な仕事とは絶対に言えません。
とはいえ
私自身が、ずっとキツくて辛い仕事をやっているのかと言えば、そうではありません。
キツイと思う基準が人それぞれで、私自身はめちゃくちゃキツイという感覚はありません。
むしろ楽しみながらやって行ける、自分にあった職業だと思っています。
どんだけキツくて、ブラックすぎるだろって思うこともありますが、それ以上に「楽しい、面白い」と思えるんですよね。
立体駐車場のメンテナンスでキツイと感じたランキング【10選】
私が今まで経験してきた中でキツイと感じた物をランキングにして紹介いたします。
重複しますが、キツイの判断基準は人によって違うので、あなたにとっては大したことでは無いかもしれませんが、参考にして頂ければと思います。
自身の怪我についてのリスク
まず、一番に感じるのが怪我や死亡事故のリスクです。
稼働中の機械装置を扱いますし、高所での作業も多いので、一般的な建設業と同じぐらいの危険性があると思います。
今まで幸いにも、私自身は大きな怪我をしたことがありませんが、目の前での事故はたくさん見てきました。
機械に巻き込まれ
「手の指を切断」
「足の指を切断」
「転落により足を複雑骨折」
その他色々見てきました。
中には片腕がなくなった方や10年以上経過しても後遺症に悩んでいる方もいます。
安全対策により防止する事は出来ますが
それでも怖いと感じる一番の要因だと思います。
現場作業を行う時は、常に安全を意識して行動しています。それでも事故を完全に防ぐことが出来ないのでやはり怖いですよね。
出口のない迷宮をずっとさまよう
機械装置のメンテナンスをやっていると、機械装置のトラブルは付きものです。
中には原因不明のトラブルに遭遇する事も稀にあります。
その際は原因究明するまで調査する必要があり数十時間にわたり調査を行います。
未知なる問題に挑むとき
答えも、ゴールも見えない、無限の道をただひたすら走りつづけるような感覚になります。
終わりの見えない作業を永遠と続ける事はかなり精神的も肉体的にも辛くなります。
原因が究明出来るまで、まさに無限ループです。過去に、数十時間に渡って不眠不休で食事も取らずに挑んだこともありますね。
プライベートの行動が制限される
立体駐車場や、エレベーターに限らず、24時間年中無休で稼働するシステムのメンテナンスを、行うスタッフはプライベートの行動はかなり制限されると思います。
重複になりますが機械装置にはトラブルは付きものです。
24時間稼働する機械装置であれば、いつ何時トラブルが発生するかわかりません。
メンテナンススタップはそのトラブルに対応するため常に備えておく必要があるのです。
もちろん交代制で担当しますので、プライベートの自由がまったくない訳ではありませんが、完全に自由になるものでもありません。
それは担当スタッフだけでは対応出来ないような問題が発生した場合、スタッフ総出で解決に当たるためです。
特に「飲酒や遠方への旅行」などには大きな行動制限がかかるようなイメージです。
完全なプライベートの時間なんて、ほとんどありませんね。いつどんな時でも携帯電話は手元に置く必要がありますね。
いつのまにか、携帯電話を持ってお風呂に入るのが普通になりましたよ。
泥酔した利用者からの暴行
一般的に技術系の作業スタッフは、接客(お客様と直接やり取り)を行わないイメージだと思いますが、立体駐車場やエレベーターのメンテナンスではそうではありません。
実際にトラブルと遭遇している利用者さまとのやり取りがあって
中には泥酔した利用者から暴行を受けるような事もあります。
胸ぐらを掴まれ地面に押し倒されたり、壁ドン(暴力的に壁に押し付ける方)されるような事はそれなりに経験してきました。
中には殴られて顎の骨を複雑骨折して「全治数ヶ月」なんて事例も実際にありました。
この被害をうけた方は、事件から10年以上経過していますが、未だに唇と顎を触っても感覚がないそうです。
このように作業によるリスクだけでなく、人的要因のリスクもあります。
冗談抜きで、生命の危険を感じる時があります。
反社会的勢力(極道)の組事務所に軟禁される
前項の利用者からの暴行とまとめても良かったのですが、個人的にこれも大きな印象が残っている内容なので個別に紹介しようと思います。
【軟禁】という言葉が正しいかわかりませんが、組の事務所に連れて行かれて会社の責任者が迎えに来るまで帰してもらえません。
特に暴行をうけるような事はありませんが、真夜中から早朝まで事務所で拘束された時は結構なキツさでした。
人身事故の現場処理
人の生活を豊かにしてくれる機械装置ではありますが、残念なことに時に大きな人身事故を起こす事があります。
エレベーターに人が挟まれた事による、死亡事故など記憶に新しいとおもいますが、このような死亡人身事故は、エレベーターや立体駐車場などでも稀に発生致します。
このような場合、事故処理が終わったあとの現場処理(清掃作業などを含む)を行うのも、メンテナンススタッフの大事なお仕事です。
事故発生時の痕跡が残っているので色々と想像してしまい結構辛かったりします。
過酷な労働環境に長時間滞在する
現場作業が多いので建設業と同様で夏の暑さや冬の寒さは当然ですし、立体駐車装置特有の過酷な環境も存在します。
他にもたくさんありますが、これらのように過酷な環境下に長時間にわたり滞在しないといけない場合があります。
真夏の直射日光が当たる場所は暑いと感じるのが普通ですが、上記のような環境から出てきた場合はこのような場所も涼しく心地よく感じます。
高度な技術や専門知識を常にアップデートする必要がある
とにかく幅広い専門知識が必要になってきます。
また、その内容の殆どが、短期間でアップデートされているため、常に新しい知識を学び続ける必要があります。
この道40年以上のベテランエンジニアさんでも
「まだまだ、わからない事がある。もっと勉強しないとダメだな」と口にします。
とことんまで極めて行くと、生涯をかけても学びきれないと思います。
慢性的な睡眠不足になる
個人差や慣れもあると思いますが
慢性的な睡眠不足になる方が多いです。
私は、どちらかと言えばすぐに眠りにつけるタイプ(寝ようと思えば1分もかからず眠れる)ですので、まだ良いほうだと思います。
そんな私であっても「寝不足による疲労感」というのを度々感じてしまいます。
とにかく夜間にかかってくる定期的な電話が続くと結構キツイですね。
例えば、次のような一日があります。
- 18:00日勤業務が終了
- 23:00自宅にて就寝
- 1:00電話連絡(トラブル対応)
- 3:00機械トラブルにより現場出動
- 4:00トラブル解決後、自宅に戻りシャワーを浴びて5時ごろ就寝
- 6:00電話連絡(トラブル対応)
- 8:00機械トラブルにより現場出動
- 9:00トラブル解決後、そのまま通常日勤業務のため出社
ちょっと極端な例ですが、実際にこのような日はあります。
2時間おきに起こされるので、寝付きが悪くて眠るのに1時間かかるような方であれば、殆ど眠ることは出来ないでしょう。
これ、極端な例です。電話が一度もならないような日もありますが、この例のように、誰かワザと睡眠の邪魔をしてるのかと思うような日も、実際にあります。
衣服や手など全身が汚れる
とにかく油汚れが酷いです。
自動車の整備士さんと同じように油汚れで真っ黒になります。
酷いときでは一度お風呂に入ったぐらいでは、手の汚れが落ちないときも有ります。
ちなみに作業着も洗濯機で洗うと洗濯機のほうが汚れてしまいます。
なので、作業着用の洗濯機を別に準備するか、手洗いで予備洗い後に洗濯機に投入するかになります。
企業によっては会社で洗濯できるところもありますね。
仕事に対する(きつさ、つらさ)の調節は可能
立体駐車場や、エレベーターなどの機械装置の、メンテナンス業は結構キツイ仕事ですよって話をしてきましたが、実はその「キツヤや辛さ」はある程度調節できる場合が多いです。
何が言いたいのかというと、メンテナンス業のエンジニアスタッフについては、現場での行動などある程度本人の裁量に任されていることが多いのです。
つまり、
とことん業務を追求して仕事に挑む事も出来ますが
逆に言葉を選ばずに言うと「少し手を抜いてサボる」事も出来ると思います。
もちろん人が乗る装置でもありますので、規則で定められた範囲の作業は守る必要はありますが、それ以上の対応についてはスタッフにまかされている事が多いです。
何度も言いますが、メンテナンスにはトラブルは付きものです。
そのトラブルに対応するため、日中の業務にもある程度の余裕をもたせてありますので、途中で休憩をとる事も出来るでしょう。
とは言ってもこの業界で活躍する方はみなさん
「とことん業務を追求して仕事に挑む方」になるのも事実です。
なので
普段はとことん追求した業務を行い
まったく睡眠が取れていないような時は
若干のんびり作業をするなど調整しながら、続けていくのが有効だと思います。
まとめ
さて、機械装置のメンテナンス業についての話は如何だったでしょうか?
そもそも
楽して稼げる仕事なんて無いと思っていますが
この職業は思っているよりもキツイ仕事だと思います。
ですが、普通の技術系現場職と比べると普段の業務については余裕があり、現場スタッフの裁量に任されている場合が多いです。
なので、本当に辛くキツイ時は、ある程度ご自身での調整は可能だと思います。
機械装置や、基盤、マイコンなどを、触るのが好きな方であれば楽しい職業だと思います。
この先、機械装置のメンテナンス業を検討される方の参考に少しでもなれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
コメント